鑑賞したけれどレビュー書き忘れていました。
映画外の事でケチがついてしまったのは残念ですがちょっとタイミングも内容も悪すぎましたね。
グレタ・ガーウィグ監督ということでストレートにバービーを描くとも単純なガールズエンパワーメント映画にもならないとは思っていましたがこれほど全方位的に刺しにくる作品だとは思いませんでした。
OPの「2001年宇宙の旅」パロディのシーンは最高ですし、人形遊びというのが少女が母親になるための練習というのは面白かったですね。
そこから女性のロールモデルとなったバービーが時代の流れ、考え方のアップデートでロールモデルの押し付け、ルッキズムの象徴となっていくのも興味っ深かったです。
もっと説教くさくなりそうな本作を支えているのは間違いなくマーゴット・ロビーのとりわけライアン・ゴズリングのチャームでしょう。
男女が逆転しているバービーランドを丹念に描くことで男女の不均衡さのグロテスクさで男性を刺してきます。
しかしだからと言って巷に溢れる単純な女性優位の間違えたフェミニズム思想とも違い力を持ち権力を握れば女性もこういう社会を作り得るといった小説「パワー」的なメッセージを感じました。
バービーとケンが現実世界に入ってからの物語のツイストも素晴らしく、リアルな男性優位社会のやだみを如何なく書いてくれます。
それにしてもマテル社の懐の深さというか、ああいう描写を許すということは逆に現在はそうでは無いという自負があるのでしょうね。
男性優位社会の素晴らしさに気づいたケンですが、なんか逆にめちゃめちゃ可哀想に見えてきます。
力を得てやりたかったのはああいう事だったのかとも思いますし、今作での最後の投げっぱなしと言いますかケンだけ置いて行かれた感があって悲壮感があります。
ラストにバービーがする行動が一部フェミニストに叩かれたらしいですが、そりゃ人間になって性器が初めてついたなら検診行けよとは思いますし、母親になりたい子供を産みたいという生き方やバービーみたいになりたいという生き方も肯定するのが真の多様性だと思います。
しかしイマイチ乗れない部分もあってバービーランドのシーンたちがそんなに面白くない。
ここは「レゴムービー」くらいというのは酷ですがもうちょっと頑張って欲しかった。
あとウィル・フェレルが面白すぎて現実世界の方がファンタジー感が出過ぎてしまっていましたね。
