こうだい

バービーのこうだいのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.3
完璧な世界、バービーランド。

真っピンクでハッピーな世界に住むバービー人形が、もしも人間の世界にやって来たら……?!

冒頭5分の世界観の衝撃が強すぎて、レンタルしなきゃよかったかも?と一時は不安になったけど、それが良い前フリになってる。

本作で1番胸に刺さったのは、男社会で求められる女性像への違和感を言葉にしたこのセリフ。
「痩せてなくちゃダメ、でも痩せすぎちゃダメ。偉くなるべき、でも偉ぶるな。母親業は楽しむべきだけど、子供の話ばかりするな。男の為に綺麗でいろ、でも綺麗すぎて男を過剰に惹きつけたり、他の女を脅かすな……etc」
女性として生きるだけで高い理想を押し付けられ、やり過ぎても叩かれるっておかしいよね。

バービーランドを見た時の強烈な違和感が、最初はおままごとのハッピー過ぎる世界に対してなんだけど、そこから現実の男社会を女に置き換えただけの世界に対するものへと変化する。現実の男社会も例外では無く、しっかりコメディとして描きつつも、バービーの世界観を存分に生かして社会性を持たせている。

「こうあるべき」というステレオタイプに縛られて自信を失う一方で、自由だ多様性だという理想論に晒され、かえって自分を見失う。
そんな現代だからこそ、そして主人公が“典型的なバービー”だからこそ、あのラストの選択は意味を持つのかもしれない。
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