KaZui

バービーのKaZuiのネタバレレビュー・内容・結末

バービー(2023年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

💬グレタ・ガーウィグ監督作品。マーゴット・ロビー主演。言いたいことはたくさんあるが、ひとまず好みの作品ではなかった。テーマそのものは良いと思うが、描き方が本当にそれでいいのか疑問を覚えた。人間界とバービーランドのヒエラルキーを男女逆にして現代社会の問題を極端に風刺し、最終的には“私は私”という着地をしていたのだが、「あらゆる人たちにスポットを」としながらも、男女平等社会より女性優位社会を目指すことが目的に感じてしまった。また、バービーに関して思うことがひとつ。バービーファンはこれでいいのだろうか。『トイ・ストーリー4(原題:Toy Story 4)』でも散々言われていたが、おもちゃとして作られたものが意義や役割を放棄して自己を確立することにはあまり賛成出来ない。それでも、『トイ・ストーリー』シリーズのウッディはまだ、“アンディのおもちゃ”から“広い世界のおもちゃ”になっただけで、おもちゃとしての役割自体を放棄したわけではないので、なおさらバービーの結末は気になる要素になってしまった。また、ケンに関して。バービーたちに対して革命を起こしたケンたちは、最終的に元の立場に戻されてしまう。そして、ケンを国の重要な立ち位置に就かせることはない。今後は、ケンたちも少しずつ地位を得ていくだろうというようなフォローは入っていたが、人間界と真逆のヒエラルキーを描いていた以上、これはあまり良くないのではないだろうか。これもまあ風刺といえば風刺で、結局のところ女性の地位向上は少しづつは叶っているけれど、根っこの部分では権力は覆らないという皮肉と捉えることも出来はする。しかしながら、ハッピーエンド風に描いている割に、平等が実現されなそうな結末はあまり好きではない。男女逆転世界を描いて男性に女性が日頃受けている屈辱を見せつけたいという気持ちと、それはそれとして逆転していたとしても男性を頭の悪い生き物として描きたいという気持ちが混在しているせいで伝えたいことがぐちゃぐちゃになっている気がした。監督の心のうちは分からないけれども。“ケンはケン”ということで救われたのも、実際のところライアン・ゴズリング演じるケンだけだったわけだし。というわけで、テーマというよりその描き方を好きになれない作品ではあったのだが、実を言うと(テーマを無視して)豪華俳優によるおふざけ映画として観るなら割と好きだ。

初鑑賞:2023年12月12日
鑑賞方法:DVD
2023年266本目。
12月16本目。

🗣はい、というわけで、「バーベンハイマー」の片割れとして人気爆発した作品ですが、残念ながらハマれなかったですね。『オッペンハイマー』はやく観たいな。
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