よしまる

バービーのよしまるのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.6
 フェミ映画か、逆にアンフェミ映画か、どっちに振れてても嫌だなぁ、バーベンハイマーの一件も余計だしなぁ、、とぼんやり考えてるうちに結局、私事も重なって映画館に行けず。配信での視聴となってしまった。

蓋を開けると、冒頭は自虐的にフェミニストを小馬鹿にした描写が続き、ケンが帰ってきてから今度はアンフェミを揶揄する。
これのどこがフェミ映画でどこがアンフェミ映画なのか?
フェミという言葉に過剰に反応してる、もしくは映画をまったく理解してないのどちらかな人が多いってこと?

フェミニストって本来は女性の地位を上げて対等にそれぞれの価値を認め合うもののはずなのに、いつしかツイフェミな人たちの声が目立ち始め、女が偉い!とか、男ばっか出てくんな!とか要するに左翼的思想イコールフェミニストみたいな構図が一般化してしまったような気がする。

実際にご覧になった方、特にフィル友の皆さまなら、バービーにはツイフェミみたいに権利ばかり主張して男を隷属的に見ようなんて思いは欠片もないことはお分かりだろう。

お気楽のーてんきなキラキラ映画と見せかけて、そうしたフェミやアンフェミを逆説的に嘲笑しつつ、自分が自分であるためにとシンプルに自我を持たせ、観客には皆それでいいのよと鼓舞する。

例えばAIのシンギュラリティのような自我の覚醒ものと受け取れなくもないけれど、本作の面白いところは、本来の玩具としてのバービーの目的を、マテルの社員が男ばかりなんて不条理なことをわざわざ描写してまで、いま一度見つめ直し、声高に宣言していること。
それを女性の権利の主張だ、男社会への警鐘だ、みたいな一元的なこととしてしか捉えられないのはまったく残念だ。
でもフェミニストの問題って根本的にそういうのを孕んでいるよね。

さて、ピンクを基調としためくるめくバービーワールド、トイカメラ風のガチャ感、コミカルな動きやカット割り、どれも楽しく観れたのだけれど、意外やそっちの面での期待が大きすぎて、途中から飽きてしまったかも。
シャンチーケンとシークレットインベージョンのスクラルケンのダンスには思わずあ〜っと声が出たし、トイコレクターの端くれでもある自分(BATGIRLのバイク付きバービーを持ってたりするww)としてはわからないなりに限定や廃番ネタとか、笑えたところもいくつかあった。
ただ、終盤のケンとバービーの戦争なんかはあまり工夫がなく退屈に感じてしまってこれはまあ好みの問題。

結局のところ、人はみんな自分の意図しないところで悩みや苦しみを抱えていて、そのしんどさを当たり前のことと受け入れがちだ。
多様性が叫ばれて久しいけれど、自己肯定を進めることと他者と認め合うことにはどこかで軋轢が生じるし、でもそうした矛盾を抱えながらも世界を飛び出し、自分の足で歩いていくことの尊さを、リカちゃんや仮面ライダーだって、はるか昔から諭してくれている。それが玩具というものだと、ボクは思っている。