アメリカ消費社会のアイコンとして女性の客体化を象徴するバービー人形。女児向けの玩具として販売されることで女性自身のセクシャリティの内面化に貢献してきた。
バービーとケンの住むバービーランドを舞台に家父長制と市場主義の共犯的洗脳構造を暴き疑問を投げかける。
バービー人形をそのまま実体化したようなマーゴットロビーが素晴らしい。徹底的に客体化された役を演じる姿にプロ根性を感じた。
ライアンゴズリングを始めとしたケン達が男社会の競争に揉まれながらも男性的アイデンティティにしがみつく惨めな存在として描かれているのも興味深い。彼らもまたマッチョでホモソーシャルな男社会の中で周縁化され生きづらさを感じている自縄自縛の犠牲者なのかもしれない。
全体的に説明的なモノローグが多くやや説教臭く感じる部分もあるが、コミカルな演出でサクっと軽快に観ることができる。
抑圧から目覚め分断された価値観に翻弄される現代人の生き方を問う意欲作。