アクセルガツキー

バービーのアクセルガツキーのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.2
着想は面白いし、最初は「すごくいい」と思って見ていたのだけど、段々と違和感が立ちこめ色濃くなってくる。

物語の内容から、これが「何も考えず楽しめればOKなエンターテインメント」ではなく、「社会の変化を映した寓話」として見るべきということには、異論はまたないと思う。…だとすると、あまりに不十分なのだ。

社会を映した寓話、にしては、見ている範囲が狭すぎる。
この監督、他の作品を見ても「女性の自由」を訴求しながら、結局「自分」かそれに似た人の自由にしか興味がない様子。つまり、中産階級〜プチブルのホワイトの、女性の自由…(基本マジョリティで絶対的にシスジェンダーの)。

当て込んだターゲットの嗜好にピッタリ合わせ、その肯定感をくすぐり(くすぐり最高ってあったな)、そうしながら「いいこと言おうとした」ことはわかる。

だけど、そこで完全に閉じてしまっては、かえって社会は分断を深めるのではないだろうか?
そして、その新しい分断と反動は、少しずつ進んでいるように見えるんだ…