期待して観たけど、その期待をさらに上まわる素晴らしい映画だった。映像、セットが圧巻なのは分かってたけど、ストーリーが予想以上にしっかりしていて面白い。性別の問題によって様々な賛否の記事があるけど、個人的には批判される意味が分からない。まず、バービーは女性が中心で強く描かれないと良さが出るわけない。男性が総じてバカっぽい役しかいないのも誇張したコメディ要素で笑えるし、その中で完全な悪人は出てこないのもハートフル。その上で人間界で行われている男社会を、女の子の夢が詰まった架空の世界に反映させるわけにはいかないという願い、バービーの世界は辛い人間社会から逃避するためにあるということに考えさせられたしグッときた。メッセージ性は強くあるんだけど、常に軽やかな映像とユーモアセンス満載のコメディ要素でそこまで主張を強く押しつけられている気にならないのも素晴らしい。終盤のバービーが創作者のおばあちゃんの手を握って走馬灯を見るシーン、音楽も相まってジーンときてしまった。グレタ・ガーウィグ監督のグッとこさせる演出は他作含めて本当に天才的。バービーもマーゴット・ロビーしか出来ないってくらい役とマッチしてたし、たくさん笑えて程よく感動出来る素晴らしい作品だった。「男はゴッドファーザーを語らせてれば機嫌をとれる」みたいなノリめっちゃ笑ってしまった。
