2001年風の冒頭からの、ピンクでミニチュア感のあるバービー人形の世界に入っていくオープニングで一気に引き込まれました。
女性が活躍し、職業、人種、体型などなど、あらゆる差別のない世界の描き方が見事です。そこで感じる違和感。男性の扱い、女性の過剰なリア充感。それがどう展開していくのか、に注目して鑑賞しました。
とにかく男性社会のキモさの表現については髪がかってます。男性が憧れるマッチョな要素の空虚さ。会社の上層部がおっさんだけとか。特にバービーたちが男性キャラをうまく操ろうとするシーンのリアルさといったら。男ってそんなに幼稚なの？という手法の連続ですが、実際にそのくらい幼稚だから救いがない。
この作品の上手いところは、男性を女性に共感させるのはもちろんのこと、バービーランドでの男女の立場の逆転によって、既得権益を奪われる男性の側へも共感させる仕組みになっているところです。女性が男性を倒すという二項対立ではなく、幼稚な男性もいる世界の複雑さ、難しさを受け入れて上でどうしていくか、というところまで話を進めています。
一方、全ての男性を幼稚な存在として描くステレオタイプが気になってしまいました。結局男性差別的な内容になってしまっていて残念です。
女性の活躍が過剰に要求されている風潮に対して、外部の要求ではなく自己の内在的な欲求によってアイデンティティを作ろうという結論は新しくはないですが、上手くまとめられていて良かったです。最後のオチは個人的には好きです。一部のフェミニストに不満を持たれそうですが。
