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バービーのjunのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.6
ピンクが散りばめられたトロピカルな世界《バービーランド》は何もかもが完璧でキラキラした世界✨
そこでは医者や大統領など様々な職業に就くバービーたちと女性の陰に隠れてバービーの引き立て役のような日々を送るケンたちが暮らしている。

ところがある日、バービーの身体に異変が…その原因を突き止めるため人間界に足を踏み入れたことからバービーとケンの人生が急展開するーー



《以下ネタバレあり》






一見ファンタジー全開な世界観なので現実逃避に近い感覚で気軽に観られる映画かと思わせておいて内容はこれでもかと現実を突きつけてくる。子供が観たら首を傾げて終わりそう🫨


前半色んな場所で仕事をして生き生きしているバービーたちと比べて自分を『僕はビーチの人』と具体的に自分を何者か説明できなかったケン。それが人間界に行ったことでキャラ変。水を得た魚のよう🐟💦
それは自分が考えもしなかったような新しい世界を知ったから…


実はこのケンこそがリアル社会の女性を表していて男女平等と至る所で謳われてはいますがまだまだ女性の方が自立の面では選択肢が少ないということをまざまざと見せつけてきます。

日本よりさらに男女平等の意識が高いアメリカらしい作りだなと感じました。

気になったのは劇中の男性の描かれ方。かなり女性目線で描かれておりこれを観た男性は気分を悪くしないのかな…とちょっと引っかかった。


目を留めたのは後半のグロリアがバービーたちの洗脳を解こうと直接的な言葉で訴えかけるシーン。あの場面はたぶんほとんどの女性がじっと聞き入ってしまったのではないかと思いました。


《女性は美しくあるべき、だけど綺麗過ぎて男を過剰に惹きつけたり女友達に脅威を与えるようなことはダメ、女同士の繋がりは大事だから目立つな、
仕事をして偉くならないといけないけど偉ぶっちゃダメ。

子供を産んで母親業を楽しめ!でも子供のことばかり話すな

老けてはダメ、はみ出してもダメ、

どれも難しいし矛盾しているのに誰からも評価も感謝もされず結局うまくいかなくて女が悪者扱いされる

人に好かれようと必死になってジタバタしている姿を見るのはもうウンザリ》

少し省略するとこんな感じでした。
聞いているだけで息苦しくなるようなセリフの数々だけど身近に感じたことがあるのも事実。色んなところに忖度しながら生きなければならない女性特有の生きづらさってありますからね。


周りの目など気にせず自分軸で生きられたらどんなに幸せでしょうね。



総評としては人によって好き嫌いが分かれそうな映画に感じました。せっかくピンクを基調とした可愛らしい世界観なのでわざわざそこに性差別の問題などを盛り込まなくても、もっと家族で観ても楽しめるほんわかしたコメディ映画として観られるものでもよかった気もしました。あくまで個人的な感想ですが…


それでも《誰も誰かの付属品ではなく自分らしく自分の生きたいように生きていい》というメッセージは受け取りました。


あと余談ですがライアン・ゴズリングの金髪マッチョはちょっとなんか受け付けなかったな。
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