にわ

バービーのにわのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.4
ケンはバービーに恋してるからケンなのではなく、ケンはケンだからケンだということが示されてて感動の終幕。
バービーランド改めケンダムランドでの暴動が起こるまでは、男はケン、女はバービーなんだけど、それぞれ違う服装で違う役割を持って差異がある。それは一見するとみんな違ってみんないいなんだけど、商品というメタ的な視点に立つと、みんなの可能性は、商品のラベルで限定されてしまっている。大統領、医者、物理学者、、そして、定番。
そんな美しい女性の定番として存在するマーゴットバービーが、自分を見つけ出していくことになるのが逞しい、、
そしてケンダムランドの暴動では、
一度男は黒t黒パンツ、女はピンクの繋ぎで一度均質化が測られている。
ラベルがなくなり、可能性が一度ならされた後の、個人を取り戻すシーンには感動せざるを得ない。。

服の色が最高。
モチーフのピンクで世界観を示して、青い服で異変を象徴。
リアルワールドでは、バービーがちゃんと浮くようバービーはピンクの服で、逆に周りにはほとんどピンクが使われない。ファシスト呼ばわりされる時に色がなくなってしまっているのも最高だった。
マテル社はしっかりピンク。
バービーランドをケンから取り戻すシーンは女子のユニフォームとしてのピンク、最後、
定番バービーが、バービーというラベルではなくバービーという私を選択する自我の目覚めが見えるシーンではこれまでにない黄色い服を着ている感じ。たまらん。

リアルワールドでバービーがバス停に座って景色を見るシーンが本当に感動。
このリアルな世界は大人がいれば子供もいて、それらが(平等に)関わり合い、笑い合い。でも中には悲しんでいる人もいる。ただ毎日踊り明かして悩みもないバービーワールドとは正反対だけど、その全部が人間の織りなす物語で、ソレが個々にあるということを触りを感じているのかな。
そして世界はパステルカラーではなく、緑もあるし、汚い色もあるし。でもその全部が世界を彩っていて素晴らしい。
このシーンで2つの世界の対比がしっかり描かれてて最高。
バービーワールドの色は画一化されたものだけど、現実世界には画一化されたものは(基本)なくて、多様性が存在して、個々がある。
バービーの直の目覚めを感じるシーンを見事な演技で表現しているマーゴットロビーがたまらない。

その後学校のカフェテリアで娘にファシスト呼ばわりされるシーンもすごい。
このシーン、マーゴットロビーの寄りの画で、背景に色が、あるだけど極めて彩度が低い感じで写ってる、、ここはこの映画の中でも一番怖かったな、、

マテル社から逃亡するシーケンス、マトリックスを完全に踏襲。
たくさんの扉がありその一つを選択すると、ビルには似つかない古民家の中にオラクルがいる感じ。オラクルに逃げ道を教えてもらう感じ、スーツ姿のエージェント(不特定多数感が強い)が追いかけるところ。
そして、この映画は、不定冠詞のバービーが、定冠詞のバービーの姿を見つけるあたりも、マトリックスぽい。

気になったのは、リアルワールドに入ってすぐ、バービーとケンがビーチで好奇の目に晒される場面で、バービーの全身像があまり映らなかった。写ってた方が全身の貴重な派手さがより伝わるからおもろいのかなとかも思ったけど、バービーへの寄りの画にすることで、バービーへの男による視姦の恐怖が、より個人的にフォーカスされて切迫感があるっていう効果があるのかな、、全体で引で見たら俯瞰しちゃうから冷静に見てしまいそう。

ライアンゴスリングが結局良すぎた。刑務所で写真撮られるシーンの溌剌さとか、ラストでバービーに泣きつく感じ、人間味あって最高だったな、、
にわ

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