あまのうずめ

バービーのあまのうずめのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.4
バービーランドのバービーは他のバービーらやケンと他のケンらと毎日楽しく暮らしていたが、ある日自分の足がベタ足になっているのを見て驚く。変てこバービーに訳を聞きに行ってみると、バービーランドと人間界の境が開いたことが原因で、定番でいたいなら持ち主を探し裂け目を直しなと言われる。


▶︎『レディ・バード』などでもお馴染みのグレタ・ガーウィグ監督作でバービーをマーゴット・ロビー、ケンをライアン・ゴズリングでバービー人形の住む世界と人間界とを描いた大ヒット作。

フェミニズム全開の作品かと観るのを躊躇っていたが、イデオロギー色をエンタメに落としたといった内容で少し安心したのと、ドラマ『アグリ・ベディ』のアメリカ・フェラーラも重要な役どころで出演していて歓喜した。

『2001年宇宙の旅』をオマージュしたオープニングから始まり、劇中『傲慢と偏見』が流れたことにガーウィグ監督の映画人で女性との立場が透けて見えた。つくづく属性への捉われ方が極端で、その批判がポリコレに傾いて共感出来ないし、逆に同情する気持ちを強くした。

パステルピンクの全セットや色調、ヘアメイク、衣装へのこだわりとバービー人形関連の再現度や、アカデミー賞歌曲賞を獲ったエンディング曲とノミネートされた挿入歌も印象的で、アカデミー賞作品賞と監督賞のノミニーになっていなかったことに納得した。

女性の立場を強調した作品作りが続くガーウィグ監督が、結局“個人”だとまとめたことで、自作がどうなるのか期待が高まる。マーゴット・ロビーのキャスティングにチクリと入れたセリフに大笑いしたが、これ以上ない程のキャスティングだった。