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バービーのmaverickのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.2
2023年のアメリカ映画。世界的にヒットした着せ替え人形バービーの実写映画化作品。監督は『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィグ。主演はマーゴット・ロビー。


マーゴット・ロビーがバービー役というのがまず納得。バービー人形が命を吹き込まれたらこうだろうなというのに全く違和感がない。バービーの世界観をリアルに感じさせる映像も見事。楽しく鑑賞出来ると同時に、作品に盛り込まれたテーマには感嘆する。バービーが主人公だけに女性の主義主張に特化した作品かと思いきや、そうでないというのも感心した。ケンの扱いもきちんと配慮されているのが良い。ケン役のライアン・ゴズリングの演技も愛嬌があって好き。バービー愛に溢れ、テーマについて深く語れる作品で本当に素晴らしい。

バービーを通し、現実世界の問題を我々に認識させる手法が上手い。バービー自身も人間社会での影響を受けて変化してゆき、同じように影響を受けて変化したケンとの対決になる。お馬鹿で笑えるストーリーだが、現実社会そのままの構図だと気付いてはっとする。その後の流れは、世界がこうあるべきという形を我々に見せてくれる。女だとか、男だとか、そういうことじゃない。それぞれに違っていて、それを認め合える世界が必要なんだと。バービー人形を基に、こうした話を作り上げることが凄い。

難しいことを考えず、ただ楽しんで鑑賞出来るのも良いところ。子供から大人まで、老若男女問わずに楽しめる。演者も良い塩梅でふざけており、絶妙にお馬鹿っぽい演技で大笑い。マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、そしてウィル・フェレルのとぼけた演技が笑いを誘う。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のシム・リウが別のケンとして登場。全てのケンが同調し、一緒になってダンスするシーンは大爆笑。変てこバービーとして登場するケイト・マッキノンのキレた演技も大好きだ。


バービーの実写化と最初に聞いた時は、ただのキャラ作品だと思った。でもそれだけに限らず、現代社会の問題とバービーとを照らし合わせた作品性なのが驚き。グレタ・ガーウィグ監督の手腕が見事だ。「バーベンハイマー」騒動は残念ではあるが作品には罪はなく、むしろこちらも被害者。変なところでケチがついてしまったが、本作自体は素晴らしい。期待以上の出来で満足だ。
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