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ヒッチコック/トリュフォーのmasososoのレビュー・感想・評価

3.7
なぜヒッチコック映画と言われるのか...
厳密なスタイルがあってどんな瞬間にも独特のタッチが感じられるから。

キャメラで書く作家であり芸術家
ヒッチコックの作品には作家の刻印がある。
ヒッチコックの作品には暗い欲望や妄執が繊細に美しく描かれる。

作家の妄執と信念こそが映画を作り上げるが、一方ヒッチコックの理念は観客への心配り、大衆に受け入れられることが第一だった。映画が観客に寄り添い親密に語りかける。

サイレント映画こそが原型。だから音声がなくても物語を語ることができる。
ヒッチコックの映画はサイレントとしても見られる。映像そのものに力があり美しいから。

「映像と音響、純粋に映画的な表現技術がすべてなんだ。恐怖だろうとなんだろうと主題はなんでもいい。確かなことは映画の面白さは物語の構成にかかっている。どんなに小さな物語でもでも技術的にしっかり作られていれば世界中の観客を同じように感動させられるはずだ。それだけが映画作家の誇りだ。」

世間からの評価は作家性、作品に投影される個性の部分へフォーカスが寄ることが多い印象だけど、実に職人的な軸を持った人なんだな。

カット割、効果の使い方、画面の大きさ、カメラワーク...冒頭から名だたる巨匠たちがヒッチコックの映画を教科書や原典のように語るその所以がわかる。
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