このドキュメンタリー作品が何に主軸を置いているのかわからない。ヒッチコック/トリュフォーについてのドキュメンタリーでありながら描かれていることはヒッチコックの作家性を見出すというかつてトリュフォーがやったことの二番煎じ、カットアンドペーストである。確かにヒッチコックの喋り方は面白いし、フィンチャー、黒沢の見解は面白い。しかしこれなら本を読んだほうがいい。本へのゲートウェイなんだと言われればそれまでだが。
せっかく今現在から語るのであればヒッチコックに作家性を見出したトリュフォーという図式まで俯瞰し、批評するところまで踏み込んで欲しかった。最後にちょろっとトリュフォーの情報を流し込まれても構成が下手だとしか思えない。