湯呑

ヒッチコック/トリュフォーの湯呑のレビュー・感想・評価

4.6
『定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー』の壮大な予告編という感じで、何か新しい発見や独自の見解が述べられている訳ではない。それでも、ヒッチコックが映画内における時間の操作について、時間を自由に操れる点こそ映画で一番楽しいところだ、と述べ、それを受けたトリュフォーが「すばらしい」と手放しの賞賛を思わず洩らし、更に画面が切り替わってリチャード・リンクレイターがヒッチコックについて語る、という展開には震えた。現代の映画作家の中でこの時間に対する自由性に最も意識的なのがリンクレイターだからだ。ヒッチコック~トリュフォーの映画作法が現在でも脈々と息づいている事を教えてくれる感動的な場面である。デヴィッド・フィンチャーは、自作『パニック・ルーム』のヒッチコックからの影響について語って欲しかった。
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