カタパルトスープレックス

アイリッシュマンのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.0
見る人によってポイントが異なるであろう、多面性を持った重厚な作品。仕事、家族、人生、価値などいろんな視点から感じることができる。

同年に公開されたタランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(以下OATIH)と非常に共通点が多い。

OATIHがシャロン・テートを中心としたおとぎ話なら、本作はジミー・ホッファを中心としたおとぎ話。両作ともものすごくお金をかけているけど、舞台セットやキャストといったアナログな部分にお金をかけている。例えば時代設定のための大量のクラシックカー。

あと両作とも予備知識があったほうが楽しめる。OATIHの場合はシャロン・テート事件だし、本作の場合ならケネディー暗殺やジミー・ホッファを中心とした労働組合とマフィアのつながり。

もちろん、相違点もある。OATIHの狂言回しは架空の人物だけど、本作の狂言回しは実在した人物。対象がアル・パチーノ演じるジミー・ホッファで、観察者であり狂言回しがデ・ニーロ演じるフランク・アイリッシュマン・シーラン。観察者と対象の二人をつなぐのがジョー・ペシ演じるラッセル・ブファリーノ。どっしりとした三角構図。

唯一、長すぎるのが欠点。