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ノクターナル・アニマルズのmitzのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.7
別れた夫から届いた一冊の小説「夜の獣たち」。彼女に捧げられたその小説を読み進めていく中で、物語は「現実」と「小説」を行き来し、2人の間に起きた出来事と結びつきながら著者である夫の真意を辿る作品です。
情緒的で動きの少ない本編とは対照的に暴力的で残酷なサブストーリー(=小説)。二重の没入感がある展開とワンシーン毎に印象に残るデザイナーとしてのトム・フォード監督の美意識の詰まった作品です。特にデヴィッド・リンチ作品のようなオープニングでは女性の美しさと醜さを見事に表現しています。またある一点を徹底して見せない演出で物語に適度な行間を生んでいます。
自己の才能を誇示するような一冊の小説を通じて「捨てた者」と「捨てられた者」の立場が入れ替わるラストシーンまで、映像と物語の緩急を最大限に駆使した粋な復習劇です。

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