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ノクターナル・アニマルズのmovieJackのネタバレレビュー・内容・結末

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

何も情報無く観た方が楽しめる(悩み悶え苦しめる)ので一応ネタバレで…(笑)

ラストシーン
「インセプション」と同様の
「は~~……ここで終るの………」と声にならない息を吐き
ズッシリ身体の芯に重い塊を埋め込まれた感覚
宣伝文句の「世界が感嘆のため息!」は正にその通りで誇大広告ではなく
ぐったりして椅子から立てないのは久し振り
私的には「サウルの息子」以来か…

ストーリーは
20年前に財産・才能無く捨てた元夫エドワード(ジェイク・ギレンホール)から
彼の著書本「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が郵送され
受け取ったスーザン(エイミー・アダムス)がその内容と彼の才能に驚き
彼との関係を振り返るというもの
現在スーザンはセレブな生活を送っているが再婚した不倫に夢中の旦那とも上手くはいっておらず…精神的にも少し疲れているよう

その著書は衝撃的で
誰もが遭遇したくないシチュエーションだが絶対に無いとは言えないトラブルが発端の事件で
大概の人は絶望を感じる内容なのだが
完全な妄想なのか願望か
元妻へのメッセージなのか懺悔か
未練なのか愛情なのか
獣とは誰を指しているのか…
それも「獣たち」とは複数の人を指すのか…
観る人により解釈が変わると思われ

その本の小包を開ける際にも彼女は紙で手を切るのだが
それも彼の怨み(攻撃)にも思えてくる悩ましさ…

今まで「トム・フォード」監督作の鑑賞はないが
映画監督以外にも高級ハイブランドのデザイナーやディレクター等していて多才な人らしく
インテリア・衣装・建築物・挿入される風景やオブジェ等は流石にお洒落に感じられ

まずオープニングから
美術館らしき空間でのパーティーと思われる会場で
全裸で踊る肥満体型の中年女性達
その異様な光景を全く気にしない来賓客達
いずれ躍り疲れた様にぐったり寝そべる女性達…
これだけで
何を意味しているの?
といきなり脳内をグワングワンとかき乱されながら作中に一気に引き込まれ
上映中は勿論のこと観賞後もその持て遊ばれ感は続き
思い出す度にクラクラし

現在と過去および著書による劇中劇
3つの話が目まぐるしく描かれるが説明等は少なく
それぞれをリンクさせるような画面切り替えにも大きく惑わされ

シーン毎に色々と考えながら鑑賞するも
休む暇も与えられず混乱した状態が続き(私の理解力不足も有りますが…泣)
解釈も観客に委ねられる部分が多く
観る人
また男女によっても違う見解になるだろう

オープニングシーン以外にも
・スーザンの豪邸の庭にあった犬みたいな銀色の大きなオブジェが後日には消えてる?
・過去にスーザンが別れを告げるシーンで彼女が去った後、エドワードの後方に著書内の加害者達の車が停まってる?
・スーザンの夫はなぜ海外から帰ってこない?

また著書内の物語シーンでも
・加害者を連行したバーの入口横にオープニングのダンサー達が座ってる?
・事件後に急に髭を剃りさっぱりしているのはなぜ?
・何故その車は手放さず乗り続けている?

これ以外にも監督の計算による違和感を抱かせる演出が多くありそうで
私には珍しくもう一度鑑賞しようかと思えるほど
余韻の波に揺られている
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