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ノクターナル・アニマルズのjun2kmのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.0
今、この映画について、すごい頭をつかって考えてて、今だに、この映画と対話してる。監督さんと、あの場面もこの場面も、どういうことやねん!って議論したくてたまらない。いやもう、そんな映画に出会ったおかげで大変ですわ。わたしは理系やけど、文系やったらトムフォード監督作品について論文を書いてしまいそうです。
ネット配信で見てたんやけど、この映画の身震いするような緊張感に耐えきれなくて、ほんまに頭を使いながらしか見れなくて、悲しすぎて一気に見ることができなくて、途中で何度も切りながら、エンドクレジットに行き着くまで4日間かかりましたよ。
描かれている風景が、もはや芸術!静止画を映画の中で突然見せられた感覚。物語を通して光と陰、赤と黒、生と死、一瞬と永遠、愛と憎悪、美と醜、そんな全てが描かれている。怖くて美しい…。
劇中、エイミー・アダムスさん演じる主人公がジェイク・ギレンホールさん演じる元恋人との子を中絶した事が出てきます。自分のおなかの中から前の恋人との命を取り出して、新しい恋人との命をおなかの中で育てていく。映画の本筋ではないけど、主人公の女性のことを考えるとほんまに切ない。切なくて切なくて、泣けてしまう。この元恋人同士の間に何があったのか、よくわかりません。復讐を描いた作品ではないと受け止めてるんやけど、"revenge” がモチーフとして作中に出てくるしなぁ。徹頭徹尾、重くて難解で張り詰めた映画です。

さて、過去を棄て去り、結婚して裕福になったけど、虚ろな女性主人公さんは捨てたものを取り戻すことができたのだろうか。いや、そうじゃなくて自分を新しく創生することができたのだろうか。ぜひ映画を見て考えてください。わたしは、まだこの映画を全く吸収しきれていない…。ほんと、まだ頭をつかっています。
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