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パージ:大統領令のMASHのレビュー・感想・評価

パージ:大統領令(2016年製作の映画)
4.0
1作目のバカげたアイデアと小規模なホラーテイストから、まさかウィットに富んだブラックユーモアの光る良作になるとは。アクション要素がかなり強く、正直『ブラック・ミラー』的な要素が強いとより僕好みではあったが、それでもこのシリーズのファンになるくらいには好きな作品。

パージは貧困層を狙って富裕層が得をするようなシステムだと訴えるパージ反対派が台頭。世紀の大統領選挙の前に陰謀埋めくパージが行われる、という内容。大袈裟なアイデアだからこそ、それをうまく活かす視点が大事になってくる。この映画では政治を中心とした様々な視点からパージを描き、極右政権が全ての実権を握ってしまったディストピアとしてのアメリカをこのシリーズらしく描き出している。

命を狙われる大統領、反パージの過激派たち、パージの日に人助けに奮闘する集団、そしてパージに怯える一般市民たち。賛成派には極右政権や宗教団体、パージにより利益を得る者たち、パージを楽しむ国民たちはもちろん、わざわざ外国から参加する者たちまで。パージが犯罪抑止とかよりも、一大ビジネスになっている部分が恐ろしい。一作目ではただの映画のアイデアだったのが、興味深いソーシャルコメンタリーを生み出しているのだ。

クライマックスの変わり映えのしないアクションには少しガッカリだったが、エッジの効いた作風はこのシリーズのアイデンティティを確立するのに十分だったように思える。量産していくのはどうかという気もするが、割と続編も気になってきた。
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