セサミストリート
ストーリー
ニューヨークでのゲイ解放運動を促した1969年のストーンウォールの反乱を背景に、架空のゲイ青年の成長を描く。
主演 ジェレミー・アーヴァイン
監督 ローランド・エメリッヒ
「インデペンデンスデイ」や「ミッドウェイ」の監督ローランドエメリッヒがゲイだとは知っていたが、この様な低予算作品を撮る事もあるんだな。
面白いのは面白い。
ちゃんと笑って泣ける。
予想以上に重たく、この時代の無法感と絶望感、そして警察の無能感は言うまでもなく最悪であった。
公開当時から今作が批判の対象にされている点の一つがホワイトウォッシュである。
"ストーンウォールの反乱"は歴史を見れば一目瞭然だが、人種的にまた、性的に多様な方々の反乱史である(写真にも多数残っている)
しかし、今作は最も重要なシーンを架空のTHEアメリカ的美形白人青年の視点によって描かれており、白人中心の映画として大ブーイングを受け、興行面も絶望的なまでの大コケをしている。
確かに、鑑賞を進めると綺麗なまでに白人有利な物語となっており、この"ストーンウォールの反乱"じゃなくても成立しそうな物語展開ではあるし、白人至上主義映画と捉えられてもおかしくはない。
しかし!
よくよく考えれば監督は"あの"ローランドエメリッヒである。
「インデペンデンス」や「デイアフタートゥモロー」等で世界を不必要なまでにぶっ壊してきた男が作った作品な訳で、そんな彼の作品に"歴史"や"繊細な感情表現"を求めても無駄である。
ましてやオスカーにノミネートされそうな作品を撮る事なんて不可能に近い。
しかし、エメリッヒにしては頑張って多様性や性的マイノリティを描いている方だと感じる。
今作は言わばデイミアンチャゼルの「バビロン」な訳であって、批判や興行収入よりも監督達が作りたい"エゴ"なのだ。
刺さる層にだけ刺さる、そんな映画なのだ。
個人的には主人公の弱さと名もなき英雄たちへの想いで胸がいっぱいになり泣いた。
現実では「きっとそうではない」のかも知れないが、たまには綺麗すぎる映画もイイナと感じた。
観る順番は「オズの魔法使い」「ジュディ」をみて今作「ストーンウォール」をオススメする。