ラブレス。
恋の不能さと、愛の不可能さ。
反復と切り返し。
ただ、たんたんと。
セックスも即物的で、感情的な熱さはない。
むしろ渇いている。
団地という、祝祭性から切り離されたフラットな空間、フラットな人々。(気晴らしはボーリングくらいだ)
夜の屋上のシーンの異質なまでの妖艶さ。
しかし、ほのかに抱かれていた恋心も、結局、当たり前のように不能さとともにある。
90年代後半。
こういう時代だったよなぁ、と思う。
いや、こういう空気の始まりだった、と言った方がいいかもしれない。
2020年代現在も、ますます渇いた性が平然と並ぶ。
荒涼としているぜ。
ラブレス。
いまや、ほのかな恋心はバーチャルの側にリアルなものとして向けられてさえいる。
勃起してるのにインポテンツのようなものだ。
セックスレスの嫁さんが寝てる隣で、エロ動画見ながら勃起している。
嫁さんとのセックスは退屈で、エロ動画を見ながら興奮している。
退屈だ。
つまらない。
不倫を夢見る。退屈だ。
不倫してみる。興奮する。無常だ。
繰り返される諸行は無常。
それでもよみがえる性的衝動。
残念。