たむランボー怒りの脱出

新・団地妻 不倫は密の味 今宵かぎりは…のたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

4.0
小林政宏が書く脚本の科白回しの美しさ。同じ単語やフレーズを一つのセンテンスの冒頭と末尾に配置してリズム感を出すあたりとか、小津安二郎×野田高梧の科白回しを想起せざるをえない。この人間性を極力排した、あたかも五線譜に則って正確に奏でられた単なる音の連なりでしかないような言葉の響き方。小津映画の非人間性に魅了されている身なので、サトウトシキ作品の科白回しについてはいくらでも素晴らしいと思えてしまう。とりわけ葉月螢はこの科白回しを最も完璧なかたちで体得している。