無神論者でありながらヒンドゥー教グッズで生計を立てるカーンジー。ある日、地震が起きて店が倒壊してしまう。保険会社に駆け込むがなんと天災は補償対象外。怒ったカーンジーは裁判所に神様を訴える…。コメディチックな作品の雰囲気から気軽に観始めたが思わぬ拾い物だった。神様を訴えるというが実際に訴える対象は様々な宗教の指導者達だ。「保険会社に掛け金を払った。寺院には寄付をした。しかし、どちらも助けを求めた時に手を差し伸べてくれなかった」「例えるなら寺院は店、僧侶は販売員」裁判所で行われる論争は宗教ビジネスを皮肉り、現代の宗教が本当に救うべき人を救っているのかという疑問を投げかける。無神論者のカーンジーにより真の信仰のあり方が問われるという設定の見事さには唸らされた。インドの宗教事情を知らない日本人でも充分理解できると思う。法廷ドラマとしても良く出来ていてそのスリリングな展開には引き付けられた。ユニークな設定でコメディ要素もありながら深いテーマを内包した素晴らしい作品だった。
