むさじー

ハッピーエンドの選び方のむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

ハッピーエンドの選び方(2014年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

<尊厳死、安楽死の是非を正面から問うドラマ>

タイトルから、老人問題を明るく描いたヒューマン・コメディかと思って観始めたら、とんでもなく重く、タブー視されがちなテーマへの直球勝負の映画だった。
レバーナは72歳で、まだ時折症状が現れる中期程度の認知症で、日本では一般的な施設入所患者のレベル。
まだ女性としての魅力も十分備えた存在でありながら、みんなにお礼を言って旅立って行く。これが認められていいのか。
物語の中に出てくる終末期医療にあって、先が見えていて苦しみを逃れるためならともかく、“幸せな最期、自分らしく自ら選んだ最後”という尊厳死だけが強調されると、今の日本や各国で行われている介護を伴う医療や、終末期医療のあり様が否定されているようで、複雑な思いになる。
でも、犯罪と知りながら加担してしまう思いは、切ないし重い。
それを正しいか否かではなく、ここまでストレートに表現した映画はなく、それを評価したい。
この映画で描かれた安楽死装置(麻酔薬注入⇒塩化カリウム注入による心臓停止システム)は『デッドマン・ウォーキング』でも示されていて、アメリカの死刑執行に使われている装置の手作り版とのことである。
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