Yoshishun

ラチェット&クランク THE MOVIEのYoshishunのレビュー・感想・評価

3.8
PlayStationの『ラチェット&クランク』シリーズ初のアニメ映画。全米では興行・評価共に大コケした影響か、日本ではゲームソフト同梱もしくはレンタルスルーに。

私自身ゲームはやったことがないが、小学校の親友がやっていたのを見ていたのでその存在は知っていた。横から見ているだけでも面白かった思い出がある。

本作はゲーム1、3作目を合体させ、そこに少しだけオリジナル要素を追加した内容となっている。声優陣はゲーム版と同じで、英語版にはあのスタローンまでもが参加している。

まず観始めてすぐ、3D映像は最近のシリーズのものとは然程変わらないと思わせる。悪くいえば、ゲーム内のカットムービーのクオリティーそのままである。この映像だけだとわざわざ映画化した意味があるのかと勘繰ってしまう。

しかし途中のラチェット大活躍の飛行シーンから映画らしい音響や映像を楽しめる。相棒クランクの登場もあり、バディムービーとしての面白さも加わり、時折入るユーモア、そして物語のテンポ自体も良い。王道的内容のため、新鮮味は欠けるものの、3Dアニメとして立体感のある映像は見所である。

また、キャプテン・クォークのイカレ具合やゲームでも印象的なネジの扱い、SF映画ファンの心擽るギミックやメカの数々など、ゲームファンも映画ファンもそれなりに満足できるような作りにはなっている。

ただ、ゲームの魅力の1つである多くの惑星での冒険という要素は大いに省かれ、殆どが宇宙内で展開される。ゲームでは様々な惑星探査を行うはずが、本作では2ヵ所しか廻っていない。銀河の危機に立ち向かうミッションものとしての色が強く出すぎたため、ゲームのようねアドベンチャーものとしての面白さは大きく削がれてしまった。また展開としても無理がありすぎる点があり、キャプテン・クォークの顛末がかなりありきたりで、かつ巻き舌が凄すぎるビッグボスの扱いも酷い有り様。また、やはり相棒クランクとの友情描写も浅く描かれ過ぎている節もある。

確かに3Dアニメ映画としては他のどの名作にも劣ってしまう部分もあり、展開にも多少の無理矢理感は否めない。ただゲームを少しでも知っている、またはやったことのある、もしくは3Dアニメ映画初心者であれば大いに楽しい作品だと思う。大コケしたのも頷けるが、レンタルスルーにしたのも惜しく感じた。
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