アリ

解放の日まで 在日朝鮮人の足跡のアリのレビュー・感想・評価

4.8
1986年作品で上映機会も少ないようですし、事前知識なしに見ると聞き取れず理解しにくい(テロップや字幕も最低限なので)ところもあり、何せ長いです。
とはいえ現代史に関心があるかたなら敷居の高さに挑む値打ちのある作品。

この映画はかつての日本の植民地政策、差別、犯罪を改めて暴き、朝鮮半島出身者たちの長い闘いを記録した超貴重なドキュメンタリーであり、その中には隣人として同志として生き得た朝鮮人と日本人の関わりさえ記録されています。
(そのことを日本人としての自分に都合よく受け止めぬよう気をつけなければとも思いますが。)

1905年の統監府設置、1910年の併合から1945年8月15日まで、キーとなる事件を中心に、当事者による証言や当時の新聞、雑誌記事などの資料が積み重ねられていきます。
特に大きく取り上げられているのは、

1922年 新潟、信濃川虐殺事件(中津川事件)
1931年 愛知、三信鉄道争議
1929年 大阪、岸和田紡績争議
1932年 福岡、筑豊、麻生炭鉱労働争議

ですが、他にも1930~40年代北海道各地の炭鉱での労働闘争、もちろん歴史の教科書にのっているような主要な出来事もおさえられていました。
これほどの情報量で歴史を今に繋がるものとして立ち上がらせてくれる作品が存在するだけでも深く感謝、なんて私が言っても軽いけど、他に言いようもない、引き継ぐべき記録だと思います。
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