スラバヤ

ベートーヴェン通りの死んだ鳩のスラバヤのレビュー・感想・評価

4.9
省略、睡眠薬を入れてからのストップモーション的カット、鳩の羽ばたき、カメラのフラッシュでのカット、ドイツ人との会話中に刑務所へ場所が変わっている素早さ。アントン•ディフリングとの対決の際に投げられる武器の着地の省略の爽快さ。目の切り返しの熱量。脅迫用写真を作るために廊下を移動する際の影、時計の音、一見奇抜な中に配置される的確なサスペンス。そして足、クリスタ•ラング。写真の乱用。コラージュ、過去。CANの音楽。山の建物ズームからカスパーに捕まれる流れの高揚感。

 エリック•P•カスパーの殺し屋はずっと意味のわからないことを口走ってるし、相棒を殺したのは弾みのようなものだったのが意味わからなくて素晴らしい。カーニバルでの発狂とアップ、恐ろしすぎる死体。冒頭に見せる異様な凶暴さ。

 アントン•ディフリングの人を小馬鹿にしたような態度は尋問の際の暗闇に浮かぶ顔とチェアを揺らすことからして腹が立つが、フェンシングの際のあのサディスティックな振る舞い、この映画の敵役は全員まともじゃない。

 グレン・コーベットの堂に入った探偵演技、それと少女に対する独白、センチメンタルな弱々しさも持ち合わせた名演技。少女とマッチ、吹き消される火の揺れ。鏡合わせの手のひら。とにかく顔の端正さ。
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