面白いしワクワクする。
けど言語化するのがなんだか難しい。
宮崎駿の遠慮が少し見えるというか、エグみが薄い。
すこしわかりやすいのが物足りないところではあるが、多分、この映画の「本当に子供向けのアニメに立ち返って作る」というコンセプトがそうさせているのかも。
ただ今見ると、最近はダークでちょっと変化球的な作品が受けているので、王道の気持ちよさも感じた。
まず当たり前と言えば当たり前だけれども、登場人物の動き一つ一つに宮崎駿演出が効いていて、相変わらず面白い。芝居の細かさとダイナミズム溢れる動きのコントラストが良い。
若さとエネルギーを感じる。
パズー視点の冒険になっているが、ムスカやドーラ一家、ロボット兵といった、サブキャラも魅力たっぷりに描かれていてみていて飽きない。
むしろ描きたかったのはそっちなのではという感じでノリノリで演出されている。
ロボット兵がシータを助ける一連のアクションは、得体の知れないロボット兵が軍人たちをあんなに蹂躙する様子なんて恐ろしくもありつつ、美しくもあり、見ていてゾクゾクする。
こういうディティールがしっかりしてるからこそ、パズーたちの冒険に説得力が生まれてくる。
子供達の真っ直ぐな気持ちで、欲深い人間たちを蹴散らし、資本主義よりも自然を大切にしようというのも気持ち良い。
そしてパズーが「バルス」を唱える覚悟を決めるその決意に込み上げてくるものもある。
映画の最高の盛り上がりとして「バルス」がめちゃくちゃハマってくる。
制作年に着目すると1986年8月公開。
となるとバブル景気がもう少しで始まるあたり。
そこでこの映画をぶつけてくるってのはなかなかさすが時代を読むセンスがある人たちだなぁという印象。
思想とエンターテイメントの両立をこんなに絶妙なバランスで調理できる技量がすごい。
がやっぱり子供向けを意識してる分、見やすすぎるところが若干個人的には物足りなさがある。