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20センチュリー・ウーマンのAutomneのレビュー・感想・評価

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)
4.5
たばこを吸う人の奥深い魅力は、言い出せなかったことやできなかった物事に対して折り合いをつけるために煙を吸っては吐き、直面した何かしらの傷をも吸い込んでしまっているから。喉は神秘世界では表現を司るものであり、伝えられなかったpainが喉に集まり病となる。
時代性と登場人物の魅力、映画的瞬間の集積という意味でのシネマティックさにあふれてA24作品の中でも極私的かなり上位。マイクミルズは受動的キャパ広めモテ男と予想、女性に対する気づかいと諦めに近いその期待のしなさがリアル。もっと女の話だと思っていたけれど、思ったよりも群像劇で思ったよりも息子が男になり女を知るまでの話だった。
フェミニズム勉強するにしても、本の知識を覚えて類型として母をあてはめてみたりする男としての安易さ、当たっていたとしてもそんな本とか知識とかでラベリングされたくないし感覚的に違うよねってなっちゃう女、そういう意味での知識偏重への警鐘だったり、ある種のメタファーをメタファーっぽく見せずにいろんなシーンに入れ込んでいるのが秀逸、でもここまで分かりにくくしたらポップな部分だけ際立ってしまい本筋がぼやけて見えてしまうというのにも納得。
男が女を愛しているというとき、それは相手のことでなくて自分の理想化したイメージ像を愛していてそれが続くと期待している。親しさがありすぎて関係性が構築できない心と性の距離の話とか、もろもろお手本映画すぎてすごい。良作です◎
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