イチロヲ

おんなたち 淫画のイチロヲのレビュー・感想・評価

おんなたち 淫画(2007年製作の映画)
3.0
放心状態に陥っている映画監督志望の青年(吉岡睦雄)が、ふたりの女性を相手にした二股生活に倦怠を感じ始める。未来を切り開くことができない青年の神経衰弱を描いている、新東宝配給のピンク映画。別題「ゆーのーみー」。

「熊代辰巳は41歳でデビューしたから」と言い訳しながら、呆けたような生活を送っている青年が、何もかもが真っ白な虚無的状況を実体験していく物語。大西裕監督のデビュー作であり、監督本人の私小説であることが読み取れる。

"ダメ人間に吸い寄せられてしまう女性"のキャラクター像と心理描写が弱いため、二股を掛けられているヒロイン(宮崎あいか&花村玲子)に、いまいち魅力が感じられない。だが、充足した環境から引き離されていく、主人公視点のドラマは及第点といえる。

70年代の日活ロマンポルノと80年代のニューウェーブを作家性に取り込んだ映画監督が、如何にもやりそうな突貫ヌーヴェルヴァーグ。濡れ場における過剰なアフレコ演技と滝のような汗だく演出が、強烈なインパクトを残している。
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