リューベン・オストルンド監督作品…《フレンチアルプスで〰︎》で興味を持ったので…立て続けに2作品目です。
結果…あぁ〰︎面白かったぁ〰︎!!
《フレンチアルプスで〰︎》よりも辛辣且つハネケに近いです…興味深い人間観察の中で、どんな人間も他者からの見えない圧力の呪縛から逃れられない…
インボランタリー … 《不本意な》状況に陥る様子を5つのエピソードを交錯させながら描きます…。
① 誕生日パーティ、庭で花火に興じる人々…突然のロケット花火の爆発で目を負傷するその家の主人…。
② セクシーポーズでキャッキャ…自撮りを楽しむ今時の10代の少女たち…電車の中ではお酒を呷り、ひとりの青年に絡みます…危ない、危ないს
③ 仲間同士でふざけ合う若者たち…羽目を外し過ぎて同性によるレイプとも言える事態にエスカレート…。
④ある小学校で、同僚の体罰を目撃した女性教師…正義を訴えるが、逆に煙たがられ周りからは無視…おまけに上司からも謝罪を要求される羽目に…。
⑤ 長距離バスツアーで休憩中にバスのトイレのカーテンが壊されます…犯人が名乗り出るまでバスを出発させないと宣言する運転手…。
実にカメラワークが絶妙で魅せ方が上手い!! 背中越しや故意に顔をフレームアウトさせたショットを多用…個人を判別出来なくすることで匿名性を高める映像は誰にでも起こり得る普遍性を表現し居心地の悪いゾワゾワ感を醸し出します。
ただ⑤に限っては観る側だけが知り得る犯人…犯人だけをさり気なく捉えるカメラ…否応なしにその人物に釘付けです…実に巧妙!!
また、面白かったのは④の女性教師の授業風景…ひとりの生徒に長さの違う2本の線が描かれたパネルを見せ、どちらが長いか答えさせます。
実は事前にその生徒以外のクラスの皆と先生は結託…生徒が選んだ答えの逆を指摘するように企みます…。
その生徒は明らに長い線を答えますが…クラスの皆はその反対の線を答えます…そして、それを繰り返すことによって…その生徒は皆んなの圧力に屈し、しばらく考えあぐねた末、自分の考えとは逆の答えを選択せざるを得なくなるのです…
どうしてそれを選んだの??
皆が選ぶと思ったから…
…所謂、同調圧力です…。
考えてみれば…世の中インボランタリーな出来事ばかり…正義感も萎えてしまうような圧倒的な外圧…改めて人間の心理を深く考えさせられました…ෆ*