とても大好きで大切な作品。
他の青春映画に比べて随分と冷めた空気感を纏っているような気がする。実際、画面も割とくすんでいるような。田舎が舞台というのも相まって全体的にどこかうら寂しい空気感を持っている。この全体の雰囲気がハマったきっかけかも。
都会の大学に行きたい!他の人とは違うと思われてもっとちやほやされたい!全部痛い程よくわかる。言動のせいで入ってしまう親友とのビビも。
そして家庭内がトラブルを抱えているのも
とてもリアル。お兄さんが奔放ながらしっかりしていて、お父さんが気弱でちょっと鬱気味だから、かかあ天下になっている感じとかあまりにも知っている感覚すぎて怖い。お父さんと兄が面接で一緒になる所はいたたまれなくて見ていられなかった。
様々な自己矛盾を抱えて、問題を起こし、傷ついていくレディバード。けれどその中で地元や親友への愛、優しさを確かに持っていることに気づいていく過程が優しいし、見ている側も気付かされていく構成なのがすごく良い。画面に映し出される主人公の姿があまりにも自分と重なる部分があり、思わず気恥ずかしくなった。
ラストも主人公の決断を優しく肯定しつつ、ハッピーエンドにしすぎないバランスがとても好ましかったな。他人事とは思えない切実で大切な1本になった。
にしてもティモシー・シャラメの女たらし感がリアルで思わず笑った。あの髪型、ルックスでバンドマン、は最高に香ばしい男の匂いがする。