こなつ

レディ・バードのこなつのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.0
フロワーさん達のレビューを読むと、今や高スコアを連発している「Barbie」。この作品は、「Barbie」のグレタ・ガーウィグ監督の長編デビュー作。
劇場で鑑賞した時の印象が「Barbie」とあまりにかけ離れていたし、「Barbie」を今週鑑賞予定なのでその前に再鑑賞してみました。

17歳を扱う青春映画が非常に多いと最近感じている。成人になる一歩手前、大人になる直前の貴重な時期。多感な時期。その時期をどのように過ごしてきたかが、それからの人生にも大きく影響をしてくるのだろう。

正に「レディ・バード」は、17歳から18歳になるクリスティンの青春物語だった。

2002年カルフォルニア州サクラメント。片田舎のお堅いカトリック系ハイスクールに通うクリスティン(シアーシャ・ローナン)は、大都会ニューヨークへの大学進学を夢見ている。自分の名前が気に入らない彼女は、自分をレディバードと呼ぶ。いつも母親とはぶつかり頭を悩ませている。友達や彼氏や自分の将来について悩める17歳の揺れ動く心情が瑞々しく、リアルに描かれている話題作。

サクラメントは監督の故郷だし、これは、監督の自叙伝?と思わせるほど描写が詳細に綴られていて、女性の自立に目覚め始めた監督の青春時代を見ているようで引き込まれた。

洋服ひとつにしてもいつも小言ばかり、決して褒めてはくれない母親との関係は、何かにつけてギクシャク。学校でのレディバードは、成績のことや自分の家のことなどすぐ小さな嘘をつくが、そんなに悪気は感じられない。きっと自分が周りから良く見られたいだけなのだ。欠点だらけのレディバードだけれど、何だか共感してしまうのは、あの頃私自身も説明が出来なかったそんな青春時代を同じように送っている。私の高校時代に比べるとちょっとおませな17歳だが、等身大の高校生をリアルに丁寧に描いていて面白かった。

母親がのぞむ娘と、娘がなりたい自分との間には大きな溝がある。どの母娘でも同じような葛藤をしながら折り合いをつけているのだから、決して有り得ない設定ではない。

空港に見送りに行けなかった母。父親から渡された手紙の下書きで母親の気持ちが痛いほどわかる。母はいつでも貴女の味方なのだ。レディバードを捨ててクリスティンという名前を認めて生きる彼女の未来に幸あれ。
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