【渋谷TSUTAYA VHS回収】
「CURE」をオールタイムベストに掲げる以上、黒沢清もまたベスト監督と言うべきなのだが、特に初期はなかなか多作のため網羅しきれていない。
この「打鐘」も存在は知っていながらずっと観ていなかったが、この機会に鑑賞。
競輪の世界を舞台に、“先行一本”を突き通す主人公と、財閥の御曹司ながら類稀な実力を持つライバルが、対立し、そして離れていくことを繰り返しながら戦っていく。
黒沢清にしては珍しい、かなりストレートでアツい物語だった。
特に印象的なのは結末で、大体のスポーツ映画ならクライマックスの勝負が決する瞬間にこそ盛り上がりのピークを置くと思うのだが、本作はそこまで盛り上げない。
むしろその後の2人のハイタッチからキレ良く幕引きする事で、勝負の結果ではなく「男たちの激情」こそが肝なのだと示している。
にしても主人公が勝ち続ける様子が新聞やニュースを使って示されるとこ、黒沢清もあんなシャバいテロップ演出やるんだ...とかなり意外だった。