鰹よろし

ジェノサイド・ゲームの鰹よろしのレビュー・感想・評価

ジェノサイド・ゲーム(2014年製作の映画)
1.9
 記憶喪失のまま戦場で女子供含む民間人を虐殺した罪を着せられ投獄され、日々送られてくる刺客たちを返り討ちにする日々を送っていた元ネイビーシールズ隊員リック・タイラー中佐の下に、超人気番組「TURKEY SHOOT」のプロデューサーが訪れる。

 リックは言われるがまま流されるままに犯罪者たちが自由を懸け戦う、犯罪者たちを獲物と称し狙い来るハンターたちから逃げ惑う脱出デスゲームへの参加を承諾し、なんやかんや陥れられた陰謀を探ることになるのだった...

 ドミニク・パーセル演じる主人公が濡れ衣を着せられ収監されるという、彼のブレイクに託けたい意志がダダ漏れなさらさら隠す気も無い設定から、なんと軽薄な作品だろうと思いきや...

 独裁国家リビア(トリポリ)への入国に当たり、入国審査官に服をはだけさせられ入念に身体検査をされる主人公と、とあるマンションの一室でラフな服装の付き人(妻?愛人?)に召し物を脱がせてもらう独裁者。

 異国と自国...暗殺者と独裁者...取調室と自室...入国審査とプライベートタイム...入国審査官と付き人...、全く同じ構図でありながら、全く異なる意味合いを持つ画を観せる導入の惹き(訴え)は抜群。

 独裁者暗殺を成功させ英雄になるはずだった男と、世界大戦勃発を喰い止められたはずの世界が辿る真逆の道を魅せることで、劇中で大勢が信じている真実と我々鑑賞者が目撃した真実とを乖離させ、善と悪が端から決められている「TURKEY SHOOT」という超人気番組に放り込むことで、我々鑑賞者を声を奪われたリックと同じ孤独な境遇へと同期させる狙いも素晴らしい。 

 しかし、彼に容赦なく襲い掛かるはずのハンターたちが彼に容赦し過ぎており、デスゲームに見どころが無いだけならいざ知らず、彼をどん底へと突き落とすはずの役割を果たせていないのは致命的。

 リックが本来置かれなければならなかった弱者の立場に立たされることなく終始強者の立ち振る舞いを魅せてしまっては、如何に作品の意図や仕掛けを凝っていたところで本末転倒だろう、残念。


「デス・レース」シリーズ...「ハンガーゲーム」シリーズ...「クライシス・オブ・アメリカ」(2004)...「GAMER ゲーマー」(2009)...「監獄都市 プリズン・シティ」(2017)...「ジュラシック・ユニバース」(2018)...「フィードバック」(2019)...
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