ジャイロ

夏の夜の夢のジャイロのレビュー・感想・評価

夏の夜の夢(2014年製作の映画)
4.8
ありのまま今起こった事を話しますと

「右手が後ろから襲いかかってくるかと思ったら、いつのまにか右手に戻っていた」

何を言っているか分からないとお思いでしょうが、私も何を見せられたのか分かりませんでした。

関節が異常に柔らかいんでしょうね。妖精パックを演じたキャサリン・ハンターさんの存在感がとにかく尋常じゃない。鬼気迫る演技を見せつけられながら人体の不思議も見せつけられるから、これはもはや妖精というより妖怪に近い(おっと失礼)。

ぬうううっと降りてくるその登場シーンも異様でしたね。すげええええ!!笑ってしまうほどにすごい。このキャサリン・ハンターさんが狭い舞台を縦横無尽に暴れまわり、飛びまわるんです。

こんなロビン・グッドフェロー見たことない

楽しすぎ

それにしても、このお方、ただ者ではないな!

キャサリン・ハンターさんは、アメリカ生まれではありますが、イギリスで育ったのでイギリスの女優さんなのかな?
なので主要な英国俳優が総出演するハリー・ポッターシリーズにも当然のように出演しているとのこと。しかし、こんなに濃い人いたっけか?

ん?

もしかして…

もしかして…



ドビー!?



(フィッグばあさんでした)


オーベロンもいいけど、やっぱりティターニアですよね。夏を支配する妖精の女王。演じてるのはティナ・ベンコさん。ティルダ・スウィントンにも負けないぐらいの人間離れしたオーラを纏っていましたね。それに声もいい。登場シーンはゾクゾクしました。最高。ティナ・ベンコさんは『アベンジャーズ』にも出ていたとか。ん~、誰だっけ?

妖精たちを演じた子供たちもすごく良かった。パックに負けじと飛びまわる。歌も動きも幻想的に仕上がってます。完全に妖精してましたね。18人のこの子たちが舞台に彩りを添えているのは間違いない。こだまの演出には驚かされました。

混乱を極める森の奥深くでは、なんで服を脱いでいくのか分かりませんが、みんなどんどん脱いでいく。どういうこと?枕投げ!?(笑)

これ、演技がいいんです。ボトムはちょっとくどいけど、誰も彼もがみんな素晴らしい演技をする。観ていて楽しくなります。色んなアングルで切り替わるカメラ、クローズアップで魅せる演技、なかなか迫力ありました。飛び出てくるかと思った。時々、これが舞台であることを忘れてまうほどでした。

妖精たちが暗躍する神秘の森

時には森の奥深く

時には花咲くベッドの中に

時には婚礼の館になる

千変万化の竹が楽しい。ただのシーツが色んな表情を見せる。光と影を見事に操った変幻自在の舞台には驚かされるばかりです。

この映画は、ただ舞台を撮影しただけではないんです。舞台の良さと映画的な良さ、この二つをうまく融合しているからこそ、この臨場感なんでしょうね。舞台は無限の可能性を秘めている。そんなジュリー・テイモアさんの演出が独創的で素晴らしかったです。


ラストでハッとしました。このジャケット、最初、遠目に見たら、女の子が狼を被って斧を持っているように見えたんです。でもよく見ると、斧ではなくて、一輪の花を手にしてるんですね。更によく見ると、この子、狼の下からじっとこっちを見てるんです。見てると思っていたら、実は見られていたんですね。うまくは言えませんが、このジャケット、お気に入りです。