ペコリンゴ

9.11~N.Y.同時多発テロ衝撃の真実のペコリンゴのレビュー・感想・評価

3.9
記録。
人類史上最悪のテロ9.11。
犠牲者数は2977人に上り、かつてマンハッタンのシンボルであったWTCツインタワーは崩落。世界中がその衝撃をブラウン管を通して目撃したものだ。

本作は新人消防士に密着したドキュメンタリーとして撮影開始されたものの、途中でWTCへの飛行機突入が発生。転じて未曾有の人的災害の惨状と、疲弊しながらも真摯に救出活動に取り組む消防士たちの姿を生々しく記録したものとなっていく。

あたり一面瓦礫の山が広がる光景や、ビルから飛び降りた人が地面に叩きつけられる衝撃音、亡くなった仲間の名前を告げる放送を聴く消防士たちのやるせない表情などは、様々な感情が込み上げてくるもので、あれから20年近く経つ今もショックを禁じ得ない。

当時テレビの緊急ニュース速報で、飛行機がビルに突っ込む様子を見た記憶がある。それはまるで映画のワンシーンのようで、実際に起きた出来事には思えなかった。本作には事件を直接目の当たりにしたアメリカの大勢の人々の生の反応も多数収められているが、彼らもまた「映画のようだ」と口走るのだ。
それほど現実感の無い、或いは信じたくはない現実であったのは間違い無い。

その邦題からは、ありがちな陰謀論を説く内容に感じ取れてしまうかもしれないが、そんなことは一切無い。そっちをお求めなら他を当たった方がいい。