ひろぽん

グッドモーニングショーのひろぽんのレビュー・感想・評価

グッドモーニングショー(2016年製作の映画)
2.3
ワイドショーの人気キャスター・澄田真吾が、同僚女子アナからの告白、番組打ち切りの危機、立てこもり事件の現場取材、不倫疑惑などと、次から次へと降りかかる災難に翻弄される波乱の一日を描いたコメディ。情報番組vs報道番組のいざこざや、激しい視聴率競争など、テレビ業界の裏事情がリアルに描かれている。


落ち目の人気キャスター・澄田の災難な一日を描いた作品だが、番組制作の苦労や派閥争い、視聴率重視の過激な撮影など、テレビ業界の裏側をリアルに描いているところは良かった。

それぞれ担当しているコーナーや番組があり、本番に使ってもらうために必死に企画をアピールしている姿は面白いなと思った。

生中継の時の最新情報の入手やテロップ入れといった編集を瞬時に判断して情報を取捨選択しながら進めている番組スタッフの凄さは半端ない。

番組が始まる前の走り回ってバタバタしている雰囲気や、ミスがあった時もキャスターが気の利いたコメントで対応していく臨機応変さはとてもリアル。


ケーキ屋で発生した立てこもり事件の犯人が人気キャスターの澄田を要求するという謎のストーリー展開なのだが、澄田の得意なリポート力で犯行動機を探っていく現場の緊迫した空気感は手に汗を握る展開だった。

“澄田さんは言葉で暴力と戦っているんだ。”

立てこもり犯を演じた濱田岳の役は現実にいそうなタイプの人間で、彼の熱演によってウザさが際立っていた。

長澤まさみ演じる佳子アナの思い込みのはげしい勘違い女も、本当にその辺にいそうな感じで上手いなと思った。顔は可愛いけど、1番関わりたくないタイプの女性像だ。

澄田の過去のトラウマが相当しんどいものかと思ったら、そこまでじゃなくパンチが弱かった。どこを切り抜きどこを採用するのかという報道の仕方によって本質が見えなくなることがあるから、メディアの情報の扱い方は気をつけないといけない。

ラストのテレビのアンケートの情報操作はやりがちだけど、人を救う嘘が時にはあっていいんだと思う。

名だたる役者が揃っているのにストーリーが全体的に微妙だし、コメディとしても面白いところがあまりないのが残念。ジャケ写の雰囲気的だと面白そうではあるのに。テレビ業界の裏側を知るには良い作品だし、中井貴一のファンにとっては楽しめる作品なのではないかと思う。
ひろぽん

ひろぽん