Yuzo

モンタナの風に抱かれてのYuzoのレビュー・感想・評価

モンタナの風に抱かれて(1998年製作の映画)
5.0
「普通の人々」と同じく、対話シーンの演出とセリフが圧倒的に素晴らしい。リアルで本質的な問いと答えが交わされ、背筋を伸ばして聞き入ってしまい、思わず泣いたり唸ったり感情が揺さぶられた。動物モノとして観ると不倫ネタが邪魔なようだが、自然の中に身を投じることで魂が救済される話であり、むしろ50sハリウッド的なスケールの大きい保守的だが正統派のラブストーリーだと思うし、全面的に支持します。クリスティン・スコット・トーマスが出ていた「イングリッシュ・ペイシェント」もスケール感がある映画で感心したのを覚えているが、この映画も影響を受けているのかもしれない。

アメリカ映画には馬の映画がよくあるが、やはり馬はアメリカのアイコンということか。ロープワークなどの馬を扱う所作がマックイーン作品のように丁寧に描かれている。あと、田舎の人がラングラーを履いていて都会の人がリーバイスを履いているのに気が付いたが意図的だと思う。アメリカの田舎ではラングラーのシェアが高いって昔々聞いたからだけど‥。

レッドフォードファンとしては、消化試合のはずが結果的には大満足。「エレクトリック・ホースマン」や「アウト・オブ・アフリカ」同様、本作もトホホな邦題。「幸福の条件」で失意のどん底に叩き落とされたものの、本作でだいぶ救われた。観てよかった。

レッドフォードは正義漢や熱血漢やリーダーというよりは、誠実だがリアリストでリベラリストで自分の信念を貫く人のイメージが強い。本作では、昔はシカゴにいて前妻がチェリストという設定はチャラいが、「ホース・ウィスパラー」としての孤高のキャラはレッドフォードの真骨頂と言えると思う。ラストシーンもベタかもしれないがいい感じ。満点でいいです。
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