ペイン

ダウンサイズのペインのレビュー・感想・評価

ダウンサイズ(2017年製作の映画)
4.3
“マット・デイモンが13センチになる”と最初に聞いたときは誰だこんな馬鹿げた映画を作ろうとしているのは?…と思ったのものだが監督を調べたら…

ア、ア、アレクサンダー・ペインやないかい!私が現役で最も好きな監督の1人。日本好きの小津安二郎フリークで知られていて、アメリカ映画とは思えない情緒溢れる人情映画の傑作を数々残している人。危うく見逃すところでした。

そんな人がただのヘンテコSFコメディを撮るはずがない!案の定、本作は人生についての限りなく深い深い考察からなる素晴らしい人間ドラマだった。つまりは手法は違えど本作はいつものアレクサンダー・ペイン映画だということだ。

世の中にはたくさんの問題が溢れている。当然、我々も何一つ不満がなく生活しているということはないと思う。誰もがより良い人生を送りたいと思っているし幸せになりたいと思っているはず。しかしそのせいでその“問題解決”にばかり目がいってしまい、今たしかにあるその“幸せ”に気づかなくなってしまってはいないだろうか。

現状維持というと聞こえは悪いかもしれないが、高望みし過ぎて今たしかにある幸せを手放してしまうことほど悲しいことはない。本作の冒頭、“幸せは追えば追うほど遠くなる”という言葉が出てきてグサッと心に刺さった。

最後、マット・デイモンがとった行動が必ずしも正しかったかどうかはわからないが私はとても晴れ晴れしい気持ちになった。彼は一歩成長したのかもしれないなと。

本作、思っていたより暗くてシリアスだとか冗長に感じるといった不評がfilmarksでは多いが、私は全くそうは思わないし人生に寄り添ってくれる素晴らしい作品だと思う。それにしてもマット・デイモンからこんなにも悲哀を感じたのは初めて(笑)ベトナム人女にこき使われるマット・デイモン微笑ましかった感想おわり。
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