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あつもののkurageのレビュー・感想・評価

あつもの(1999年製作の映画)
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あつもの、品評会に出されるような、花びらが中央に向けて盛り上がった菊の花のことをさす。菊作りで天賦の才を発揮する男にヨシ笈田。欲しいものに一直線、強欲さが強く印象に残る、本能的なキャラクター。消防士を引退し、菊をコツコツと育ててきた北陸の名人に緒形拳。この頃のあどけなさと色っぽさが同居する小島聖は最高。息子家族と隣家のエピソードが、悲しい。

祖父が蘭の栽培をしていたため、小さな頃に連れられてよく品評会に行ったが、菊の品評会は蘭のそれと似ている。やはりローカルヒーローみたいな人がいて皆の尊敬を集めるけれど、飛び抜けて美しいものを創造する人ほどスマートさからかけ離れた、常識を逸脱しているところがある。ヨシ笈田はまさにそんな人を演じていた。
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