雨宮はな

ミモザの島に消えた母の雨宮はなのレビュー・感想・評価

ミモザの島に消えた母(2015年製作の映画)
2.0
珍しくマザコンが良い方向に作用した、とするのが最大の好意的な見方。
邦題もポスターも、本編を誤解させるようなつくりでひどい。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
邦題
■映画の本質を完全に無視している

ポスター①「メガネの女性のアップと家族写真が印刷されたもの」
■主人公がメガネ女性だと勘違いさせる
■「母はあの日、何を見たのか?」というフレーズは、映画内で見受けられない

ポスター②「抱き合う男女と、そこにフレームのようにミモザがかかっている写真が印刷されたもの」
■この男女が“消えた母”で、彼女が失踪した物語を彷彿とさせる
■男女(兄妹)が抱き合うシーンにミモザは無いし、本編中にミモザが印象的なシーンもない

ーーーーーーーーーーーーーーーー
アガット(主人公の妹)が全く好きになれない。
トラウマのせいで精神の成長ができていないのはわかるけど、「あの人を母と呼びたくない」だの「母を失った原因を祖母と呼ばせた」だの、自分に都合が悪くなると語気を強くしたり怒鳴り散らして被害者ぶるところがなんとも……。
なので、メラニー・ロランが渾身の泣きの演技をしていても、神妙な顔で姪と接する叔母に扮していても、白けてしまう。

主人公ははた迷惑なマザコンぼくちゃんだけど、「都合が悪くなると子ども扱いして、煙にまこうとするのを止めろ!」という指摘にはまったくもって同意。

主人公の周囲の人間がただ可哀そう。
娘、元妻、新恋人。
そして、元使用人の夫は彼とその実家に振り回されて本当にしんどかったと思う。

原題の『BOOMERANG』がとても良いと思うので、どうにかその意味を汲んだ邦題をつけられなかったのか非常に残念でならない。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
日本でもよくある家族設定だったため、クライマックスでは鼻で笑ってしまった。

主人公:マザコン40代。感情の抑制がきかず、腹が立つと周囲に当たり散らす。
妹:自分に都合のいい部分だけ掬っていくが、賢くないため本質が捉えられず手のひら返しが多い。
父:マザコンぼくちゃん。自分と母親を優先した結果、子の精神的成長を阻害した。
祖母:外面のいい、超嫌味姑。攻撃する事は得意だが、攻撃されることには慣れていない。
母(鬼籍):被害者のようで、感情にまかせきりになり母親であることを放置した自分勝手人間。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
雨宮はな

雨宮はな