カタパルトスープレックス

石のゲームのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

石のゲーム(1965年製作の映画)
3.0
ヤン・シュヴァンクマイエル監督の三作目にしてはじめてストップ・モーション・アニメーションが前面に出てきた作品です。

本作のモチーフは「石」です。無機物もシュヴァンクマイエル監督がよく使うモチーフですね。前作『J.S.バッハ G線上の幻想』では音楽に映像を合わせる手法ですが、今回はアニメーション(石)と音楽(オルゴール)が対等な関係にあります。「動きと音」のモチーフは前作より本作品の方が成功していると思います。また、「機械仕掛け(時計とオルゴール)」のモチーフが出てくるところも、よりシュヴァンクマイエル風です。

しかし、作品としての出来栄えは仮面劇のデビュー作『シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』には及びません。元々は人形劇/仮面劇作家なので、手法としてまだストップ・モーション・アニメーションが自分の中で吸収し切れていないのでしょう。

物がどんどん崩れて粒が細かくなって人間に近くなるのは『対話の可能性』にも通じる物があります。そういう意味では『対話の可能性』の習作として位置付けることもできるのかもしれません。