無知A

ルームの無知Aのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.7
前半と後半で大きく内容が違う事は、作品の魅力にも繋がっていて良いのだが、深さという観点ではやや物足りない。確かに物語は筋が通っていて、緩急もあるが、私には、良い話だなといった単純な感想しか浮かべられなかった。というのも、今作では、話の中盤で話の展開が読めなくなる瞬間があるが、この時に過剰な期待を持ったのが原因だと思われる。今作の後半は決して攻めた内容ではなかった。寧ろ、非常に手堅いものだったと言える。なので、良くも悪くも無難な内容だと私は感じた。これは、単体として後半を見た感想ではなく、前半からの流れを加味しての感想である。

一方、物語の構築は秀逸で、演技についても圧巻だった。今作でアカデミー主演女優賞を受賞した母親役のブリー・ラーソンは勿論だが、子ども役のジェイコブ・トレンブレイもまた非常に素晴らしかった。子どもにしか出来ないピュアな演技の数々が、作品の雰囲気を作り出していた。彼の演技が作品の評価を底上げしているといっても過言ではない。

総じて、アカデミー賞主要四部門にノミネートされたのも頷ける良い作品だった。だが、守備が強い反面、攻撃力で他のノミネート作品に勝てなかったのかなと思う。


(内訳)
面白さ-主観- 3.7
学び-質量- 3.4
構造 4
無知A

無知A