実際にあった監禁事件をヒントに書かれた小説を映画化した作品。
7年も監禁された母と5歳の男の子の脱出劇と、その後を描いたドラマ。
主演の母ジョイを「キャプテン・マーベル」のブリー・ラーソンが演じており、本作でアカデミー主演女優賞を受賞している。
息子ジャックは「ワンダー君は太陽」などのジェイコブ・トレンブレイが好演。
髪の長い痩せた男の子の姿が、鋼錬のアルフォンス・エルリック（あちら側にいた姿）に重なってしまった。
また、解放されたばかりで、初めて見る他人の大人の声かけに怯える姿は、野犬が人間に怯える姿のようだった。
脱出できて良かったね、だけではない当事者の苦しみが丁寧に描かれていた。
監禁された生活の全てが悪かったばかりではなく、そこには母と子の愛情で溢れる世界があったようにも感じる。
祖父の気持ち、祖母の優しさ、マスコミの視点なども現実的だ。
"ルーム"を訪れるラストシーンが、脱出後の苦しみやトラウマを抱えながらも、強く生きていけるだろうという希望を予感させて良かった。
