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ルームのcamusonのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
2.7
7年間監禁された母と息子の話。
母は10代で誘拐されて、その後7年間監禁され、
息子は監禁部屋で母親が犯人に孕まされたことにより産まれたため
生まれて方5年間、外界をまったく知らず。
方形のワンルームで、ドアは固く閉ざされ、窓は天窓が一つ。
犯人のオッサンだけがロックを解除して出入りすることができる。

という設定です。


前半は母親が5歳の息子を利用して犯人を欺す脱出作戦を計画し、
母息子協力して実行。
脱出が成功するかどうかのサスペンスとしてのドキドキ感があります。

後半はガラッと毛色が変わり、
脱出後の母息子の生活に焦点が当てられます。
息子が、少しずつ外の世界に慣れていく一方で、
母は、PTSDに苦しむことになります。


女性にとって、10代後半からの7年間、
犯人の性奴隷として生きることはあまりに苛酷で、
失ったものは大きく、心に重大な傷を負い、
精神が不安定になるであろうことは、想像に難くないところ、

母への事件についてのインタビューの不躾っぷりが、
あまりにひど過ぎて、(それをきっかけに母の精神が病んでいく)
今ひとつリアリティが感じられませんでした。
そんなわかりやすい話にしてしまっていいのかなと思いました。

また、本来の怒りの矛先であるはずの犯人に関する情報が、
脱出後にまったく出てこないというのも、不自然に感じました。
(作品として部分部分はいいのに、何かが抜けてて、
全体としてまとまらない感じがする原因かも知れない)

このようなシチュエーションに陥った場合、
人の心はどうなるのだろう、周りはどうあるべきなのだろうと、
いろいろと考えさせられる作品であり、
その意味で価値ある作品だと思いますが・・・
作品内で示されたリアクション(解答)は、
自分としては感情移入できるところが少なく、あまり心が動かされませんでした。

実話なのかなと思っていたのですが、
調べてみたところフィクションのようです。
そうであれば、もっと大胆に、描きたいところにフォーカスして、
もう一歩二歩踏み込んで描いた方が良かったかなと。
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