雨宮はな

ルームの雨宮はなのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.0
無知な無垢が親切であろうとすると、悲劇を生むという教訓。
彼女はその後、求める“普通”を手に入れられるんだろうか。

よくある「無事脱出、よかったね!」で終わるのではなく、その後がスタートっていうところまで描いていたのが良かった。
受け入れ先の母の新しいパートナーもなるべくしてなった人物だというのが、父親との比較で残酷にも浮き彫りに。
ジョイは誘拐されなくても、かの家庭環境によってなんらかのアクシデントにあっていただろうなと容易に想像ができた。

ジャックが被害者なのはわかっていても、不愉快でしかなかった。
「かわいい」「守る対象」って思わないとやってられなかっただろうし、発狂してたと思う。
実際、5歳になって自我が強くなってきてからは頭を抱えたりトラブルになるような描写があったわけだし。

アメリカにおいて「ルーム」は非常に重要な要素のはず。
生まれてすぐに与えられる個人の「ルーム」がない状態で育ったジャックが自分でものをいえないのは、そこにも関係するのだと思う。
一方で母親もジャックを切り離せず、いまだに妊娠中と同じような感覚だったのだと思わされる。
日本人にはなかなか「ルーム」の閉塞感や重要性は伝わりにくい気がした。
雨宮はな

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