「アリックスの写真」
本作はジャン・ユスターシュ監督が1980年に35ミリフィルムで監督した18分の作品で、この度DVDの特典映像として入っていたのを鑑賞した。この作品は監督の遺作で、写真家アリックス・クレオ=レボが若い男に自分の写真を説明すると言うだけの作品だが、元はシンクロしていた画面上の写真と彼女のナレーションがどうやらズレ始めていることに気がつくや、見るものはかすかな戸惑い、そして幻惑を覚える。この作品はイメージよりも音に一層の重要性を認めている作品で、ユスターシュの特異なものであったことを表すわけではないが、音響技師などを選び抜いたゴダールやマルグリット・デュラスもそうだったと思う。この作品は短編たが、始めはシンクロするコメントと映像がいつの間にかヅレ、ヅレながらもしかし妙に画面とマッチして独特のユーモアを醸し出す魅力的な作品ではある。退屈だけどね。
