センカン

ガールズ&パンツァー 劇場版のセンカンのレビュー・感想・評価

5.0
これが2時間尺に収まっているの驚愕。

TVシリーズで高校最強の戦車道チームとなった大洗女子のその後。
冒頭からエキシビションマッチという事で、2校ずつでのタッグマッチ。なして弱い頃のチハタンと組んで強豪2つと相対せにゃならんのか。ホームの大洗でやれてるのが優位なくらい?、本番で戦った事のない聖グロが、唯一勝ちきれてない相手として因縁が完成した試合でもあります。

いつものBGMに合わせてパンツァーフォー、順番に大洗戦車のロゴを映しながらのスタッフロールで始まり、否応にもテンション高まる。
各校にシーン映るたびにBGM変えていて、特にプラウダが勢いに乗って崖越えしてくるとこが好き。BGMと共に一気にプラウダ色に染まってく感じが良いんです。
逆転を喰らって散開してからの各シーンもネタ満載。スピード狂のカニ戦車。昇降機トラップver2とか、エスカレーター降り。ホテル貫通のドジっ子カーベーたん。神社階段降りとかいう罰当たり強行(よく鳥居抜けれたな…)
これ観てから大洗行くと神社への参道前で車でフェイント仕掛けたくなります。(迷惑)
ラストは水族館前での決戦。チャーチルあの図体であそこ登れなくない?、映画開始30分も経ってないのにこの緊迫感。この試合だけで正直映画に出来そうなレベルでした。素晴らしい。

冒頭だけで既に長文なのですが、ここからが本番。例によって廃校の危機で色々あって大学選抜との試合に。学校追い出された後の皆の様子(特に風紀委員)とか、ボコミュージアムでのアリスちゃんとの出逢いとか書きたいこと多過ぎるこの映画。我慢して戦車戦のことだけに絞ります。

圧倒的な戦力差の中、集うTVシリーズで戦ったライバル達、展開が熱すぎて熱中症になります。お姉ちゃんの「まったー!」が最高に可愛くてツボる。カチューシャの萌え袖が見れる貴重なシーン。チハタンは16両帰れ笑。ここでチハタンや継続が出て最終章への布石になってるのもまた暑い。この頃は継続高校の戦車一両しかないと思ってましたすみません笑
作戦会議からして面白い。一堂に介した隊長達の性格のバラバラ感が楽しい。作戦会議も作戦名もひたすら勝手に好きなこと喋っておられる。お姉ちゃん居なかったら纏まらなかったですね…、さらっとボケたのに桃ちゃんにツッコまれて冷静になるお姉ちゃん可愛い。

試合始まり、まずは丘の取り合い。まんまと誘い込まれて大学選抜の切り札ともいえるアレの餌食に。いや絶対レギュレーション違反ですって。スタートの時にどこ居たんだ笑。この着弾シーンを映画館で見た時の絵と音の迫力はシリーズ随一。
標的となったプラウダ車両は撤退戦で次々と脱落、雨とBGMも相まってカチューシャの絶望感表現が上手い。仲間死んだんかってくらいの表情好き。涙ぐみながら乗り越えるカチューシャ可愛い。

奴の対処のために組まれた急増チーム、ここで見せ場の継続高校。カンテレの演奏と共に単騎で駆け抜ける様は優雅であると同時に、ミッコの操縦で苛烈さも極まれり。ここがこの映画のベストバウトと思う人も多いくらいの名シーンで、試合序盤の山場でしたね。
「皆さんの健闘を祈ります。トゥルルン」

体勢を立て直してからの遊園地籠城。ガルパン×遊園地なんて面白くなるに決まってるじゃないですか。
ジェットコースター偵察やチハタンのヒヨコ隠れ、個性活かした奇策で対抗しつつも、戦力と戦術差でジリジリと攻められる展開、いよいよ追い詰められた所で逆転のウサギさんチーム。砲塔2門あるのはこの日のためだったかと謎の納得。

ここらは猛スピードで一進一退の撃破祭り。アンツィオ直伝看板騙し、バレー部加わって本領発揮のヒヨコ戦法、迷路混戦からの偵察バレ、ジェットコースター戦と目白押し。大学選抜側も本気を出してきて、3強とアリスちゃんで一気にトントンまで持ち込まれる様が、無茶苦茶ではありますけど、やっぱ大学強いじゃねーかと納得させてくれます。
特に好きなのは聖グロのダー様の決死の戦術、アレだけは真っ向勝負も奇策も通じない相手、緻密な計算で出された僅かな勝算に賭けたって感じが聖グロらしくて好き。
プラウダの威信をかけて生き残ったカチューシャ様の活躍も負けず劣らずカッコいい。

最期の闘いでそこを組ませるとか分かってらっしゃる。我々が観たかったモノを余さず出してくれるのが水島監督。
手に汗握る残り5分、一手一手が詰将棋のようで息するの忘れて観てました。息ピッタリ過ぎて久々のタッグ戦とは思えない連携。これの緊張感ばかりは観て感じてくれとしか言いようがないです…

総評ですが、何が凄いってこれだけの密度の濃い内容を120分の尺に収めてる事ですよね。他の作品でも言ってるかもですけど、水島さんの作るアニメってワンシーンで込める想いと意味と伏線とギャグとが濃密に絡んでいて、無駄なシーンがホントにない。尺を端折ってる訳ではなくて、カタルシスを出す部分ではしっかり時間も取ってるから、急いでる感じもしないのがまた上手い。有り体に言うとタイパが良い笑
その良さが極限まで仕上がった作品でした。素晴らしい。

2023年の最終日という事で今作登録致しました。TVシリーズに続いて最高のエンタメ体験、この勢いのまま最終章も続々と作られていて、最期が近付いてるのが寂しく仕方ない。

点数内訳
世界観:5.0
ストーリー:5.0
キャラ:5.0
音:5.0
映像:5.0
スコア:5.0
センカン

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